知的財産法 後期第1回
https://gyazo.com/cc9ba103be363efea8b241ca190af38f
https://gyazo.com/226b4aca6b94bca621485c00bd328c3b
知的財産法II(知的財産法前期)を履修していない方は、ここも参照しておいて下さい。
今日の課題
事業戦略と知財戦略について考える
将来就きたい仕事は何でしょうか?
その仕事において知的財産・知的財産権についてどのような関わりがあるだろうか?
問い
Aさんは、ドリンクメーカーに務める会社員である。勤務する会社で、新しい製品として、清涼飲料水を販売することになった。
企画にあたり、Aさんの頭によぎったのは幼い頃から飲んでいるコカ・コーラ。
そこで、コカ・コーラをパロって、商品名、「コラ・コーラ」にして販売することを考えた。
一方、他のメンバーから、「カラ・カーラ」が良いとの提案があった。ロゴは、Cora-Cola, あるいは、Cara-Calaである。
いずれにせよ、清涼飲料水として、容器は、コカ・コーラの瓶と同様に、胴がくびれた瓶での販売と、缶ビールの缶と同様の缶を使用することとした。
知的財産法に鑑みどのような問題があるか検討しなさい。
知的財産法が保護する対象に共通することは何であろうか? その共通点が生み出す価値はなんだろうか?
https://gyazo.com/198a0cadfdfed2872fd5b52be2a8d813
https://gyazo.com/fa2d2a4c1376df6b1185344a99f3d6c2
https://gyazo.com/82341e4afeca057e2c32154463e398d9
https://gyazo.com/8270e8deacefead1973f398aec1fa2c7
意匠・商標・不競法特許法との対比
特許法は、技術的思想の創作である「発明」を保護対象とし、
一定の登録要件を満たすときに、
登録により特許権を設定し、
所定の期間、その発明につき、独占排他権を付与して保護する制度であった。
意匠法・商標法・不正競争防止法はこれに対し、どのような法律であろうか?
意匠法・商標法・不競法
意匠法・・創作保護法
商標法・・信用保護法
不競法・・信用・営業秘密・商品形態・技術管理体制保護法
https://gyazo.com/169ca00d60e98663a9267dd609beb77c
https://gyazo.com/7c801be66cb428c2e8a1745f5cb8ccb4
https://gyazo.com/5e7481192ce1cd867ff72a3d8fcd2916
上記、創作の創作ではなく、意匠の創作です。
意匠法第一条 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
なぜ、「意匠の創作の保護及び利用を図ることにより」としていないの?
特許法第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。「発明」の保護=「発明」を奨励・・発明=技術思想としての発明を保護し、技術思想としての発明を奨励。
これと同じパターンにするなら、意匠法も「意匠の創作の保護及び利用を図ることにより意匠の創作を奨励」としなければなりません。でも、そうしていない。
https://gyazo.com/aa7999ae0772d1b02b15ed22abc6852a
商標法第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
特許法と同じような形式にしたらどうなる?
商標法第一条 この法律は、業務上の信用を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
https://gyazo.com/7657d4c4763980eb516b8c56e7087a25
https://gyazo.com/8a80cc0e7d926d48600d95428c839acd
2019年改正法で、これに加えて、建築物の形状等、画像も保護対象となった。
改正後
第二条 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
[https://gyazo.com/a9302eeaa4778d12a06cbba3a1249c4d
https://gyazo.com/7cc78efcb72b55e6d5811f5d637d89be
https://gyazo.com/fead32467ade5c5c41cc1d2f972ca0b0
https://gyazo.com/06597153bc87ace6a60cf9bbf832c059
https://gyazo.com/01bc7c5d390253e49f034191e230ec9d
https://gyazo.com/607998a9554bcd685abbd1de2ecb6e08
https://gyazo.com/2e5a17e6a59e2f4366836feb6b1128fe
https://gyazo.com/b601381cc1ec8baf919eff84d04b6ab9
https://gyazo.com/6f4b98da10184e265bd7fab556ce6ecf
https://gyazo.com/0413495f70dc2ff7cf2cdce7f1191043
https://gyazo.com/b722a37ac5dced929fad785d33ad1260
https://gyazo.com/83edf3a3dbc1d77b1d70eb3ea45814a9
https://gyazo.com/d9ed9c48277cbab2e83a8e9557e754d7
https://gyazo.com/29b4238358dcb998d956325c0c994448
https://gyazo.com/c1b4c3a461121758795ecd830ddd6778
https://gyazo.com/274199bec9b320548b18c6a194927df5
https://gyazo.com/a3811bd18cb6731a414ea7854ccddcf9
https://gyazo.com/e5475d623f9709bc495ea06291ab2a77
https://gyazo.com/7d31e542e693bc37a697c63853c45c51
https://gyazo.com/6450fd691428f2e3704b63301efc6fbe
https://gyazo.com/3efeba346b899639c88ffb5f10bd5e57
https://gyazo.com/af27132de905e443cb11035b8be27938
ユニットシェルフ事件
第一審
平成29年8月31日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成28年(ワ)第25472号 不正競争行為差止請求事件
口頭弁論終結日 平成29年6月30日
https://gyazo.com/ce528add3ac2bf98bc204f806d57a2a7
控訴審
平成30年3月29日判決言渡
平成29年(ネ)第10083号 不正競争行為差止請求控訴事件
https://gyazo.com/d83cd2c6536166fb4c004d6e09a21da1
その他の知的財産保護法
知的財産を保護する法律は他にも以下のように存在しますが、本授業では、意匠法、商標法、不正競争防止法の説明に必要な場合を除き、積極的に触れることはありません。
https://gyazo.com/4669deec34f9f4bb36a0b392856fca61
https://gyazo.com/f4ebf42b2b8fe6f5972a8ba81835a2ec
https://gyazo.com/ccf1bbc0839f9f601424a448aad91a7f
https://gyazo.com/24d4174ba7c4ef2ec042811478b50911
https://gyazo.com/5d88c0e2d1bbf112d5186390b8530264
https://gyazo.com/740604ebdcfd3c54f03173ec43cbd424
https://gyazo.com/7e43e0dc10477c153b2d5595d5304421
https://gyazo.com/c4fb19490c6d755e7905323c0679c1a7
https://gyazo.com/58e8478e72867101af3033aa04ae5177
https://gyazo.com/0dcbdc10cb2a63046c747a09d507a41f
https://gyazo.com/f870607ee21c16344503b8e3f18b406f
https://gyazo.com/80939ae2a0807931b657abc9fbee2849
https://gyazo.com/29dc1fbb532e5eed584e3ef7ff71bc83
https://gyazo.com/b93f1b776cdf865d68516fe6b8ff7259
https://gyazo.com/5aaea1f7e064fc58b4aeba3339e77adf
https://gyazo.com/71a816f65ad910998a296c66c2802204
https://gyazo.com/4c041a2d58f381e064ecec11bb0f7962
https://gyazo.com/76a8f0f48c6a385f66be58d8d516069e
https://gyazo.com/5d468f8e5cf551635f8ee9927705862a
意匠法の体系
意匠法は、物品の美的外観である「意匠」を保護対象とし、
一定の登録要件を満たすときに、
登録により意匠権を設定し、
所定の期間、その意匠及び類似意匠につき、独占排他権を付与して保護する制度である。
意匠は、創作されるものだが、意匠法は特許法と異なり「意匠の創作」を直接の保護対象としていない。
「意匠」と「創作の創作」との間のギャップをどうしているのか、に着眼する。
商標法の体系
商標法は、商品の識別標識である「商標」を保護対象とし、
一定の登録要件を満たすときに、
登録により商標権を設定し、
所定の期間、その商標を所定の商品に使用することにつき、独占排他権を付与し、かつ、類似する範囲に禁止権を付与して保護する制度である。
商標法は、商標の使用により蓄積された「業務上の信用」を本質的な保護価値としている。
「商標」と「業務上の信用」との間のギャップをどうしているのか、に着眼する。
意匠の機能(意匠の保護価値)
意匠を保護するとどんなメリットがあるのだろうか?
意匠法の保護対象:意匠とは
「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
登録要件
新規性(意3条①)
創作非容易性(意3条②)
不登録事由(意5条)
一 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある意匠
二 他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠
三 物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠
先願主義(最先出願のみ登録)(意9条)
色々な保護制度
部分意匠(意2条①)
組物の意匠(意8条)
関連意匠(意10条)
秘密意匠(意14条)
意匠出願
意匠登録出願(意6条)
物品の特定
意匠の特定(図面等)
一意匠一出願(意7条)
分割(意10条の2)
変更(意13条)
補正(意9条の2)
優先権の主張(準特43条)・・・なお、国内優先の制度は意匠法には無い
審査
出願内容の審査
拒絶理由通知(意19条準特50条)
拒絶査定(意17条)
補正内容の審査
補正却下(意17条の2)
補正後の新出願(補正時にされたものとみなす)(意17条の3)
登録査定(意18条)
意匠権
設定登録により発生(意20条)
存続期間・・登録日より20年
関連意匠の存続期間・・本意匠の設定登録日から20年
意匠権の効力(類似範囲にも及ぶ)(意23条)
実施権(意27条〜34条)
専用実施権
通常実施権・法定通常実施権
侵害に対する救済
差止請求権(意37条)
損害賠償請求権(民法709条・・意39条)
信用回復措置(意41条準特106条)
審判・再審・訴訟
拒絶査定不服審判(意46条)
補正却下決定不服審判(意47条)
無効審判(意48条)
再審(意53条〜58条)
訴訟(意59条、60条)
商標法の保護対象(H26年改正商標法)
(定義等)第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
1.業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
2.業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
商品とは、商取引の目的たり得るべき物、特に動産をいう
役務とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう
商標とは
人の知覚によつて認識することができるもの
文字
図形
記号
立体的形状若しくは
色彩
又はこれらの結合、
音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)
新しい商標
動き商標
ホログラム商標
色彩のみからなる商標
音商標
位置商標
商標の機能(商標の保護価値)
商標はどのような機能を有するのだろうか?
商標を使用するとどのようなメリットがあるのだろうか?
登録要件
特別顕著性(商3条)
不登録事由(商4条)
先願主義(最先出願のみ登録)(商8条)
色々な保護制度
団体商標(商7条)
地域団体商標(商7条の2)
存続期間更新登録制度(商23条)
防護標章登録制度(商64条)
類似商標の扱い
類似範囲も審査(商4条)
間接侵害として保護(商37条)
移転時の混同防止表示義務(商24条の4)
商標出願
商標登録出願(商5条)
商標の特定
商品・役務の特定
一意匠一出願(商6条)
分割(商10条)
変更(商11条)
補正(商9条の4)
出願時の特例(商9条)
優先権の主張(商9条の2)・・・なお、国内優先の制度は商標法には無い
出願公開(商12条の2)
出願があったとき
設定の登録前の金銭的請求権等(商13条の2)
審査
出願内容の審査
拒絶理由通知(商15条の2)
拒絶査定(商15条)
補正内容の審査
補正却下(商16条の2)
補正後の新出願(補正時にされたものとみなす)(商17条の2準意17条の3)
登録査定(商16条)
商標権
設定登録により発生(商18条)
存続期間・・登録日より10年
商標権の分割可(商24条)
商標権の効力・・独占排他権(商25条)
類似範囲は禁止権(間接侵害・商37条)
使用権(商30条〜33条の3)
専用使用権
通常使用権・法定通常使用権
侵害に対する救済
差止請求権(商36条)
損害賠償請求権(民法709条・・商38条)
信用回復措置(商39条準特106条)
異議申立・審判・再審・訴訟
登録異議申立制度(商43条の2〜43条の15)
拒絶査定不服審判(商44条)
補正却下決定不服審判(商45条)
無効審判(商46条)
取消審判
不使用取消(商50条)
品質誤認・出所混同による取消(商51条)(商52条の2)(53条)
代理人等による不正登録の取消(商53条の2)
再審(商57条〜62条)
訴訟(商63条)
不正競争防止法
商品等表示など類型化された保護対象につき、
予め定められた不正競争行為の類型に該当するとき、
差し止め請求や損害賠償請求を認めることにより、
業務上の信用・営業秘密・商品形態・技術管理体制などを保護する。
意匠・商標法は、事前に保護範囲を公示し、事件が起きないように事前保護が可能なのに対し、不競法は、事件が起きてしまった後に、それを個別的に解決する。
不正競争防止法の保護対象
商品等表示・・信用の保護
営業秘密の保護
商品形態の保護
技術管理体制の保護
ドメイン名の保護
原産地・品質等の保護
他
不正競争行為の類型
良品計画 VS カインズ平成28年(ワ)第25472号 不正競争行為差止請求事件
良品計画製品
コカ・コーラと同じ形状のビール瓶は?
コカコーラ ビール瓶
その他の知的財産保護法
不正競争防止法
著作権法
種苗法
半導体集積回路の回路配置に関する法律
PCT出願(特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律)
マドリッド協定議定書による国際出願
ジュネーブ改正協定に基づく特例(平成26年改正意匠法第六章の二)
地理的表示法特定農林水産物等の名称の保護に関する法律
第一条この法律は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書1Cの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定に基づき特定農林水産物等の名称の保護に関する制度を確立することにより、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする。
地理的表示
農林水産物・食品等の名称であって、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結び付いているということを特定できるもの。
地名+産品名 例:○○干柿
著作権法の目的と保護対象
(目的) この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
保護対象・・著作物
著作権は支分権の束
複製権・上演権・上映権、公衆送信権、口述権、展示権、配布権、譲渡権、貸与権、二次的著作物作成権・利用権等、著作隣接権、出版権など
依拠性を侵害要件
産業財産権法は、差し止め請求に依拠性不要、損害賠償につき過失の推定
「TRIPP TRAPP」幼児用椅子著作権侵害事件:東京地裁平成27年4月14日判決言渡 平成26年(ネ)第10063号 著作権侵害行為差止等請求控訴事件
応用美術と意匠
椅子デザインは、意匠権で保護すべきか、著作権で保護すべきか?
「TRIPP TRAPP」幼児用椅子著作権侵害事件:東京地裁平成27年4月14日判決言渡 平成26年(ネ)第10063号 著作権侵害行為差止等請求控訴事件
著作物と意匠の関係
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」である(著2条1項1号)
「美術の著作物」には「美術工芸品を含むものとする。」(著法2条2項)
そして、著作物として、「絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物」が例示されている(著10条1項4号)
同法10条1項4号の規定内容に鑑みると 「美術工芸品」は,同号の掲げる「絵画,版画,彫刻」と同様に,主として鑑賞を目的とする工芸品を指すものと解される。
「TRIPP TRAPP」幼児用椅子著作権侵害事件:東京地裁平成27年4月14日判決言渡 平成26年(ネ)第10063号 著作権侵害行為差止等請求控訴事件
著作権法の目的に鑑みると,表現物につき,実用に供されること又は産業上の利用を目的とすることをもって,直ちに著作物性を一律に否定することは,相当ではない。
同法2条2項は,「美術の著作物」の例示規定にすぎず,例示に係る「美術工芸品」 に該当しない応用美術であっても,同条1項1号所定の著作物性の要件を充たすものについては,「美術の著作物」として,同法上保護されるものと解すべきである。
侵害の有無
「被控訴人製品は,いずれも4本脚であるから,上記(1)の点に関して,控訴人製品と相違することは明らかといえる。・・・・・(一部につき控訴人製品との類似性が認められる、としつつ)・・・しかしながら,脚部の本数に係る前記相違は,椅子の基本的構造に関わる大きな相違といえ,その余の点に係る共通点を凌駕するものというべきである。」
とし侵害を否定した。
種苗法の目的と保護対象
この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
新品種の登録
育成者権を付与
半導体集積回路の回路配置に関する法律の目的と保護対象
この法律は、半導体集積回路の回路配置の適正な利用の確保を図るための制度を創設することにより、半導体集積回路の開発を促進し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
保護対象・・半導体集積回路の回路配置
(創作保護)
回路配置利用権
その他の関連法
輸出入取引法
関税法
独占禁止法
電気用品安全法(PSE法)
製造物責任法
輸出入取引法の目的と保護対象
この法律は、不公正な輸出取引を防止し、並びに輸出取引及び輸入取引の秩序を確立し、もつて外国貿易の健全な発展を図ることを目的とする。
第二条 この法律において「不公正な輸出取引」とは、左に掲げるものをいう。
一 仕向国の法令により保護される工業所有権
又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引
二 虚偽の原産地の表示をした貨物の輸出取引
第三条・・輸出禁止 四条・・制裁:輸出停止処分
関税法の目的と輸出入の規制
関税法:この法律は、関税の確定、納付、徴収及び還付並びに貨物の輸出及び輸入についての税関手続の適正な処理を図るため必要な事項を定めるものとする。
(輸出してはならない貨物) 第六十九条の二 次に掲げる貨物は、輸出してはならない。
三 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品
四 不正競争防止法 (平成五年法律第四十七号)第二条第一項第一号 から第三号 まで、第十号又は第十一号(定義)に掲げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第十九条第一項第一号 から第五号 まで又は第七号 (適用除外等)に定める行為を除く。)を組成する物品
(輸入してはならない貨物) 第六十九条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
十 不正競争防止法第二条第一項第一号 から第三号 まで、第十号又は第十一号(定義)に掲げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第十九条第一項第一号 から第五号 まで又は第七号 (適用除外等)に定める行為を除く。)を組成する物品
独占禁止法
この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針
電気用品安全法(PSE法)
この法律は、電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。
(基準適合義務等) 第八条 届出事業者は、第三条の規定による届出に係る型式(以下単に「届出に係る型式」という。)の電気用品を製造し、又は輸入する場合においては、経済産業省令で定める技術上の基準(以下「技術基準」という。)に適合するようにしなければならない。
製造物責任法
この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(製造物責任) 第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
パブリシティ権という概念
ピンクレディ事件最高裁判決
パブリシティ権が 人の肖像等の持つ顧客吸引力の排他的な利用権である以上,顧客吸引力の無断利用を侵害の中核的要素と考えるべき
肖像等の商業的利用一般をパブリシティ権の侵害とすることは 適当でない。
我が国にはパブリシティ権について規定した法令が存在せず,人格権に由来する権利として認め得るものである。・・・競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,法令等の根拠もな く競走馬の所有者に排他的な使用権等を認めることは相当でないと判示している趣 旨が想起されるべきであると思う。
パブリシティ権が認められる類型
1)ブロマイド,グラビア写真のように,肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
2)いわゆるキャラクター商品のように,商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する場合
3)肖像等を商品等の広告として使 用する場合
これらはいずれも専ら顧客吸引力を利用する目的と認めるべき典型的な類型である・・これらに準ずる程度に顧客吸引力を利用する目的が認められる場合に限定することになれば,パブリシティ権の侵害となる範囲は,かなり明確になるのではないだろうか。
おわり
著作:弁理士 遠山 勉